横浜成田山で護摩祈祷を受けてきた話

成田山といえば千葉県成田市のあの大きなお寺(成田山新勝寺)だけど、実は横浜にも成田山がある。

横浜成田山

住宅街の中に立つ横浜成田山

明治9年(1876年)からこの地にある、全国に8か所ある成田山の分院のひとつ。みなとみらいのあるJR桜木町駅から逆方向に坂を上り徒歩10分ほど。この辺りはちょっと高台の住宅街でもあり、伊勢山皇大神宮という鎮守社もあり、海側のにぎわいとは少し違った空気感のあるエリアだ。

この横浜成田山で、護摩を受けてきた。願い事を叶えるべく、お坊さまに祈祷していただくのだ。

護摩とは、護摩木という薪(まき)と供物を火にくべて不動明王に祈るという真言密教の秘法のこと。この酷暑のさなか、火を焚いての祈祷である。以前に、野球選手がシーズン前に気合いを入れるために毎年行っているという護摩行の映像を見たことがあった。炎ともうもうとした煙にいぶされ、玉の汗を流しながらお経をあげ続ける。あれは気合いを入れるというより、苦行に近い修行のようだったけれど。

・・・いや、まさかあんなハードなのとは違うよね?20分ちょっとで終わるって言われたし、まず大丈夫だろうとは思うけど、マスクに加え、煙対策のメガネも持ち、念のため臭いのつきにくそうな素材の服を着て家を出た。

横浜成田山に行くには、最寄り駅から10分ほど坂道を歩いていくことになる。お盆のさなかのこの日、午前中からスマホに警報が飛んでくる暑さのなか、10分も坂を上ったら脱水症状寸前だ。汗がまったく引かないまま本堂に入り定刻を待つ。堂内には夫と私しかいない。貸し切り状態の護摩祈祷だ。

太鼓が大きく二つ鳴らされて、お坊さまが堂内に入ってくる。お清めをしてもらい、祈祷が始まった。

すこし離れたところからお坊さまの背中を見る形になるので、細かな手もとの様子はわからない。それでも護摩木を火にくべた瞬間なのか、1メートルはありそうな結構な高さの火柱が上がったのに驚く。火の粉がお堂の高い天井まで届きそうに舞い上がって、燃え移るんじゃ?とヒヤヒヤするくらい。意外なことに煙の臭いはほとんど気にならない。読経の声だけが響くお堂の中で、ずっと立ち上る炎を見つめていると、徐々に心が静かに、おだやかな気持ちになっていくのがわかった。

横浜成田山・護摩 

護摩祈祷の火は、煩悩を焼き尽くす炎なのだという。煩悩を焼き尽くし、願いが清浄なものとして成就するよう、この暑い中でも何重もの法衣を着て火を焚き、お坊さまは祈ってくれている。

願い事を叶えたいと思うとき、その願いが叶うよう一緒に祈ってくれたり、力を貸してくれる誰かがいるということ。どんなささいな願いでも、あるいは大きな夢であっても、誰かが一緒にその成就を願い、進展を喜んでくれるということは、それだけでもすごく大きな幸福感と力をもたらしてくれるものなんだな。徐々に小さくなる護摩の炎を見ながら、凪いだ心の感覚と、いつのまにか汗も引いて軽くなってきた体の感覚を味わっていた。

お寺で祈祷していただくのは今回が初めてだったのだけれど、火を使っての儀式は独特の空気感があってとても良かった。実際に重たい何か(主に煩悩?)を燃やしたからなのか、私より暑さに弱い夫も妙にスッキリした顔で「何か気持ち良かったね」と一言。足取り軽く坂を下りて帰宅したのだった。

散華(横浜成田山)

蓮の花びらを象った散華(さんげ)・運が良いと配られることも

真夏に炎の祈祷、なかなかお薦めです。

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